心理学の用語で「マズローの欲求5段階説」というものがあります。
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
人間は自己実現に向かって絶えず成長する」という仮説をもとにつくられた理論です。
この理論と住宅の関係を考えてみました。
■マズローの欲求5段階説
1-5番の欲求で低いものから順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れるとする説です。
1-4は「欠乏動機」と呼ばれ、不足すると不満が生じます。
5は「成長動機」と呼ばれ、成長することそれ自体が目的になります。
1.生理的欲求
最も根源的な欲求で、飲食や、睡眠、性など生命維持に関わる欲求。
2.安全の欲求
身の安全や、身分の安定など、心と身体を外界から守るための欲求。
3.所属と愛の欲求
孤独を避け、共同体の一員に加わり、周囲との愛情関係を求める欲求。
4.承認の欲求
より優れた存在と認めたい自己に対する欲求と、信用や承認を得たいという
他者からの評価に対する欲求。
5.自己実現の欲求
自分がなり得る最高の状態(自分自身の本性に忠実)になりたい欲求。
■住宅に求める欲求
住宅を借りる場合、買う場合に当てはめてみると以下のようになると考えています。
1.寝る場所を確保する → 生理的欲求
2.雨風をしのぐ → 安全の欲求
3.家族と住む、仲間と住む → 所属と愛の欲求
4.広い家、綺麗な家に住む → 承認欲求
5.住宅が成長の場となる → 自己実現の欲求
1-4までは住宅そのものに対する欲求であり、環境が整えば欠乏動機は満たされますが、5は住宅を通しての営みに対する欲求なので、住宅を手に入れただけでは成長動機は満たされません。成長動機を満たすには自分自身の行動が不可欠です。
■自分が今求めているもの
住宅を借りる時、買う時、自分が今どの段階の欲求と向き合っているかを考えてみましょう。「欠乏動機」を満たすために買うのか、「成長動機」を満たすための場を必要として買うのかで、必要な住宅の内容も変わってくるでしょう。
大切なのは、自分が今求めている欲求に合った住宅に住むことですが、そう簡単に住み替えるのは難しいものです、ましてや買うとなると一生に一度の大きな買い物です。
しかし、現在の自分の欲求に向き合うことは、今後のライフプランを立てるうえで、何らかのヒントを得られると思います。成長動機は人それぞれ異なります、自分に合う住宅がどんなものか考えてみましょう。
住宅は必要不可欠なものですが、それ自体が目的ではなく自己実現の欲求を実現するための手段として、一度じっくり考えてみるのはいかがでしょうか。
【編集日記】
今日は、手強くてなかなか手を付けられなかった業務に着手。
やりだすと意外と進むものですが、それがなかなか難しいものですね。