東京駅 1914年竣工
建築の仕事をしていたら、よく聞かれる質問があります。
「コンクリートってどれくらいもつの?」この質問にそのまま答えると、新築の建物で「計画共用期間」を超長期に設定すれば、約200年もつ建物を設計することができます。
しかし、質問の意図は工学的な答えよりも、より身近なスケールのように感じています。
勝手に翻訳するならば、「自宅を建てる又は買うのに最適な建物の構造は何?」だととらえています。
■建物構造のおさらい
一般的に建物の構造は大きく分けて、鉄筋コンクリート造(以下:RC造)、鉄骨造(以下:S造)、木造の3種類に分類されます。厳密に言えば鉄骨・鉄筋コンクリート造(SRC造)や混構造、その他構造もありますがここでは3つに大別します。
さらに、3つの構造の特徴を「お金」と「重さ」で表すと、
RC造:高くて・重い → 重い(≒強さ)を生かした大規模建物向き。
S造:高くて・軽い → 軽さを生かした大空間の建物向き。
木造:安くて・軽い → 安さを生かして小規模な建物向き。
のようになります。
規模が大きくなると、自重も重くなり構造的な耐力もより必要になりますし、耐火性能が求められたり、必要な設備も増え、必然的にRC造が選ばれます。また、体育館のような大空間を必要とする建物では、木造では構造的に造ることが大変難しく、S造になる場合が多いのです。
では、木造の出番がないかといえばそんなことはなく、その安さと軽さを生かして小規模な建物には多く採用されています。コンクリートだから、鉄骨だから、すべてにおいて木材より優れているわけではなく、材料それぞれにメリット、デメリットがあり適材適所で使い分けられているのです。
■日本の住宅事情
日本の住宅は現在、約4960万戸あり、そのうち木造が約6割、RC造が約3割、S造が約1割で、木造の割合が多いのです。
建て方の分類で見てみると、住宅全体のうち戸建てが約6割、マンションが約4割ですので、数字からみても戸建木造住宅が一番多いことがわかります。これは、小規模な住宅には、木造が適していることの証左でもあります。
木材は比較的安価な材料で入手しやすく、日本の気候風土にも適した材料で、住宅規模の建物にはうってつけの材料なのです。
■住宅に最適な構造は?
ここからがようやく本題ですが、住宅の購入に限らず大事なことは、目的と手段を間違えないこと。家を建てることに当てはめれば、目的は、自分らしく幸せに暮らすことであり、建物の構造はそれを実現するための手段に過ぎないのです。
自分らしく暮らすためにコンクリートの打放しが必要であればRC造でもいいし、ガラス張りの家が必要であればS造でもいい。しかし、そうでなければわざわざ高いコストを払ってまで木造以外を選択する必然性は低いのです。
もし、家をたてる又は買うことがあれば、限られたコストの中で目的を実現するには何が必要かを、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。
編集日記
昨日は、初ブログに悪戦苦闘。記事を考えるのも頭を使いますが、
買ったばかりのPC、初めて一人で操作するWordPress、
かなり体力を消耗しました。